タイトル 海が走るエンドロール
著者 たらちねジュン
出版社名 秋田書店
ISBN 9784253265218
既巻 4巻(2023年2月16日)
刊行状況 連載中
ジャンル ヒューマンドラマ
おすすめ度 ☆☆☆☆☆
ひとこと! 気持ちが、ドラマが、海が走っていく
海が走るエンドロールの魅力を伝えていく!
こんな人におすすめ!
- 表現系の漫画が好き!
- ヒューマンドラマが読みたい!
- 世代を超えた話が読みたい!
止まっていた心が動かされていく・・・そんな話です!
夫が亡くなってしまったおばあちゃんのうみ子さんが、映画を撮るために美大に入り、新しいものに触れ心を躍らせながら生活していく話です。
世代や価値観を超えて、挑み続けるクリエイター魂のある人たちの物語です。
あらすじ
65歳を過ぎ夫と死別し、数十年ぶりに映画館を訪れたうみ子。そこには、人生を変える衝撃的な出来事が待っていた。海(カイ)という映像専攻の美大生に出会い、うみ子は気づく。自分は「映画が撮りたい側」の人間なのだと……。
心を騒ぎ立てる波に誘われ、65歳、映画の海へとダイブする!!(秋田書店HPより)
年をとっても新たなる挑戦へ…
自分を変えたひとりの美大生とともに残りの人生を賭け、まだ見ぬ世界へと足を踏み入れるその姿がかっこいい!
そして、ぞくぞくしてくる彼らの挑戦に読んでいるこっちも何か新しいことを始めたくなってしまうような作品です。
おすすめPoint!
- 世代間のギャップ!
- 掻き立てられる高揚感!
- 海の描写と心情!
おばあちゃんが映画を学びに美大に入ります。単なる年齢的なギャップもそうですが、登場する人の映像へのやる気のギャップもまた面白いです!
そして、掻き立てられる内なる欲望!
自分も何かを作る側になりたいと思ってしまうほど、感化されてしまいます。それくらいに凪いでいた心のざわめき具合が鮮明に描かれていて、こっちの感情もつい乗ってしまいます。
気持ちの表現として扱われている、波の表現もまたエモくていいです!押し寄せてきて、心を騒がせてくる波。止められない衝動。感化されていく登場人物。人の心が、行動が影響し合って波のように連続していく様子がたまらないです!!!
類似マンガ
- ブルーピリオド
- メタモルフォーゼの縁側
- ランウェイで笑って
- ブルージャイアント
ブルーピリオド
以前まで美術に興味のなかった男の子が、芸大に入るため奮闘する話です。表現・芸術を題材にしていて、どちらも挑戦者な感じが似ています。
メタモルフォーゼの縁側
夫を亡くしてしまったおばあちゃんが、立ち寄った本屋で、図らずBLに魅了される。そのBLと年の離れた書店員とをつなぐ物語です。海が走るエンドロールと境遇が似ています。
ランウェイで笑って
ダブル主人公の話。男の子はデザイナーに、女の子はトップモデルになることを夢見て、もがいていく。やりたいことへの熱中具合が似ています。
ブルージャイアント
ジャズに魅了された少年が一からジャズプレイヤーへと駆け上がっていく話。音への引き込みかたが、海が走るエンドロールの映画への渇望の感じと似ています。
もと店長のひとりごと
この漫画がすごい!という感じです。乾いてしまっていた心に突然訪れる渇望。一度気付いてしまったらなかったことにはできなくて、物語が始まります。ここんとこの揺れ動きの描き方がいいです。年齢も年齢だし、波風立てずに静かに生きていこうとするうみ子さん。一度、蓋が開きかけたときもひっそりと蓋を元に戻そうとします。ですが、蓋をしていたぶん、抑えきれずにものすごい勢いであふれ出てきます。でも、やっぱり年齢もそうだし…
そんな風に、欲望と葛藤のはざまで動く気持ちとそれでも抑えきれない欲望の感じが本当に好きです。これは読みます!!!
それと、若い子たちとの関係性もいいです。若い子の少し小馬鹿にしているように見える接し方も、それについていけない海子さんもこういう感じになってしまうのかなと思います。それでもみんなそれぞれの向き合い方で映画に対して向き合っているところがまたいい…
今回はこの辺で。
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